こんにちは。てぃろです。
今回は会議で上司に意思決定をしてもらうときに部下として何をするべきなのかを解説しようと思います。
これは会社組織に属する人ならだれでも必要な業務遂行能力の一つですし、エンジニアも例外ではありません。
エンジニアが上司に意思決定をしてもらうケースというのは、新機能に対する技術選定という重めのものだけでなく、ちょっとしたバグの修正方法まで幅広くあります。
では、意思決定をしてもらうためには何をすればいいのか少し詳しくみていきます。
意思決定してもらうには選択肢を用意しよう
上司が意思決定をするというのは、具体的に言うと「これから何をするかを決める」ということです。
この「何をするか」という部分を出すことは上司の仕事ではなく、「決める」ことが上司の仕事です。
では、「何をするか」という部分を出すのは誰の仕事かというと、部下の仕事です。
よくある意思決定をお願いする場合の失敗ケースは、「XXについて、どう思いますか?意思決定をお願いします」という言い方で説明が終わる場合です。
言い方の問題も多少ありますが、「XXについて、どう思いますか?」という言い方で終わるしかないようなケースでは、そもそも状況説明しかしていないことがほとんどです。
意思決定をするというのは、これから自分たちがどうなっていこうとしているのかを決めることなので、未来の話をしないといけません。状況説明は現在または過去の話なので意思決定のための参考情報にしかならないのです。
そこで、未来の情報として提示するのが「選択肢」です。
上司は、数ある未来の可能性の中から最善と思う一つの未来を選びます。これが意思決定です。その数ある未来を選択肢として提示するのが、部下の仕事だということです。
では、ここからはどのように選択肢を用意するべきなのかを解説していきます。
選択肢のメリットとデメリットを書く
当たり前ですが、その未来(選択肢)を選ぶとどんないいことがあるのか?というメリットを明示する必要があります。それと同様に、時間的コスト、金銭的コストなど様々なデメリットも明示する必要があります。
上司は、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを比較することによって、どの選択肢が最善であるかを選ぶからです。
このときの提示の仕方は、表形式にして比較軸を明確にしましょう。例えばこんな形です。
比較軸 | 選択肢A | 選択肢B | 選択肢C |
要求仕様を満たす | すべて満たす | 最低限満たす | 一部満たさない |
バグ混入の可能性 | あり | なし | 多少あり |
実装コスト | 10MM | 2MM | 5MM |
非常に簡略化して書いていますが、ポイントは比較軸の文言に対して各選択肢で比較される文言をそろえることが必要です。これが当たり前なのですが、できていない人が多いです。
要求仕様を満たすかどうかを聞いているのに、仕様の詳細を書いてしまっていることなどあります。そういった追加情報は別紙にしておくのがいいでしょう。比較表ではまずメリットデメリットをしっかりと比較することに特化した情報のみを出します。
では、このような選択肢をどのように出せばいいか、その観点をお伝えしておきます。
選択肢をMECEにする
MECEとは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った言葉です。 直訳すると「互いに重複せず、全体として漏れがない」という意味になります。
提示する選択肢が、漏れもなく重複もないのが必要なのです。
まず漏れをなくすという点です。
これは具体的に言うと、提示された選択肢はこれから取りうる未来すべてを網羅しているのか?を確認することです。
もしこれ以外に選択肢があるならば、そちらのほうがいい未来が待っている可能性だってあるわけです。そういった場合、上司に必ずこう言われるでしょう。
「なんで、この選択肢だけ用意したの?」
もし、意図的に外したのならその理由を説明すればOKです。大抵の場合論外になる理由があって外すことになったからでしょう。ただ、選択肢として他があったならそれも参考情報として見せておくのがよいでしょう。わざわざ上記のような疑問は持たれないですし、そういうやりとりそのものが発生しなくなります。
ただ、選択肢がすべて網羅されているかどうかについては、そのときに扱うものによるのでここでは具体的には書けません。
大事なのは網羅するために選択肢を洗い出した考え方そのものです。その考え方を示すことによって、上司は選択肢がすべて洗い出されていること、適切に考えることができていることを確認できます。
ぜひ選択肢を用意するだけでなく、どのように洗い出したかという考え方まで提示するようにしてみましょう。
そして出してきた選択肢が、重複していないかをチェックしましょう。
言葉は違っていても、本質的には意味が同じ選択肢というのもあります。それぞれの比較軸の内容や、最終的な未来が同じである場合など、慎重にやります。
最終的に意思決定する上司を混乱させないためにも、取りうる選択肢を明確にしておくことが必要なのです。
最後に
今回は上司に意思決定をしてもらうための選択肢をだすべきであり、そのためのポイントを解説しました。
ポイントを絞っているので、少しわかりにくいところもあったかもしれませんが、エッセンスは書ききれていると思っています。
でもやはり私が一番気になるのは、正しい日本語を使う部分です。選択肢をいかに漏れなく重複なく出せたとしても、中身の日本語が適切ではないと適切な選択肢や比較表になりえません。
必ず書いた後の表をすべて読み直して、比較軸に対して正しい表現をできているかを確認することをしましょう。
以前グランプリを受賞した以下の記事でも日本語の大切さを書いています。こちらもよければ是非読んでみてください。